VITAL*SONGS　BLOG

 Twitterではリアルタイムでご報告していましたが、最後の最後に大きなトラブルに見舞われ、なんとか12時間遅れで帰国して3時間だけ眠って出勤し、ようやく落ち着いたところです。

そんなわけで「トスカーナの夕闇に包まれて〜フィレンツェの休日〜」から戻ってきました。やらなきゃいけないことが山積みなのですが忘れないうちに少しずつ旅行日記を書いていきます。

羽田のWi-Fiは快適でした。サクサク繋がる。

いろいろ試して至った結論ですが、機内食はどこの航空会社が美味い不味いと言うよりも、その航空会社の国のものを頼むのが正解。例えばいくら日本食が恋しくてもアリタリア航空ならパスタを頼む。そうでないと恐ろしくまずい米が出てくる。

ここで気をつけなければいけないのは、CAさんは「チキンオアビーフ？」とか肉の種類で聞いてくるので、果たしてビーフがラザニアなのか牛丼なのかで話が違う。事前に配られるメニューを読んでどっちの肉が正解か覚えておかないといけない。私はこれを毎回忘れて毎回同じ過ちを繰り返してる。

機内サービスで気になってた「メイズランナー」を1から3まで全部見た。スター・ウォーズエピソードVIIIが途中までしか見れなかったのが心残り。途中でおやつが配られたけど「おにぎりとケーキどちらにいたしますか」と言う究極の質問だった。

トランジット含め15時間弱のフライトを経て、ようやく夕まぐれのフィレンツェ着。

初日のみ泊まったホテル。夜でも歩いていけるようにサンタマリア・ノヴェッラ駅近くのここを選んだけど、結局タクシーで行く羽目になった。出費が痛い。

内装がレトロでとても素敵。バスタブ付きだったのもありがたい。

初日はまったりと市内観光。メディチ家礼拝堂とロレンツォ・メディチ図書館。

ミケランジェロが設計を手がけた霊廟。墓碑もミケランジェロの彫刻。

私はやっぱり彫刻はミケランジェロが一番美しいと思う。ベルニーニも捨てがたいが。

隣接したこの図書館のミケランジェロ設計。とても美しい図書館。

なんかとにかく階段が不思議な形をしていてとても美しかった。下から撮るとよくわからないけど。

誰も見てないスキに。一応コイツらを取り出すときは人目を忍んで撮ってます。

きれいな写本とかフィレンツェ名物マーブル紙の古書とかが展示されてる。

私書見台が好きなんです。これもミケランジェロ設計。

床のモザイクも素敵。

お腹がすいたので中央市場でランチを物色。一階が生鮮食品売り場で二階がフードコートみたいになってる。

とにかくチーズが美味しそう。チーズ好きにはたまらない。けして安くはないのだけどそれほど高くもないし、実物を指差してオーダーできる気楽さがいい。

とにかくモッツァレラチーズが（略）当たり前だけど日本で食べるより全然おいしい。

なんかね、豆腐と同じ。豆腐ってこんなもんと思ってふだん食べてるけど、新鮮な豆腐ってほんとにおいしいじゃない。豆腐です。出来たての。

あと、頼んでもいないのにブルスケッタにはバルサミコ酢とオリーブオイルをたっぷりかけてくれる。どこに行ってもドレッシングはバルサミコ酢一択でした。割と甘いお酢なので好みが分かれると思う。

二階はこんな感じです。この市場は気軽に立ち寄れるのでよく使ってました。

私は飲めないからできなかったけど、ワインもグラス一杯から買えるので飲み比べとかも楽しそう。

つづく。

旅行記の途中だけどちょっと先に最終日のことを書いておきたい。忘れないうちに。

今回の旅行中、予定していた4本の飛行機のうち３本が１時間遅延して離陸した。全部が遅延してたら話は簡単だったのだけど、日本に戻る最後の1本だけが定刻に離陸したため乗り継ぎに間に合わず、私はひとり海外の空港で自分が乗るべき飛行機を見送る羽目になった。問１）この時の私の気持ちを６字以内で述べよ。答）あり得ない。

予定ではフィレンツェからウィーンを経由して一時間半のトランジットで乗り継ぎ。ウィーンに向かう機内で「たいていの乗り継ぎ便には間に合います。乗り継ぎ時間の短い以下の便にはダイレクトゲートを開きますのでそれをご利用ください。私たちが責任を持ってご案内します。」とのアナウンスが流れた。ちなみに私は半分ほどしか聞き取れてない。イタリア人の英語、巻き舌きつくてよく分からない。

さいわい手荷物はハンドバックしかなかったので私は全力でゲートを走り抜け、気が遠くなるほどだだっ広い空港の端から端までおよそ20分で搭乗口にたどり着いたけど、乗客はおろかすでに地上職員の姿もなくゲートは封鎖。念のためポールを飛び越えてドアを押してみたけれども施錠されてビクともしなかった。外を見ると乗るべき飛行機が滑走路に向けて動き始めていた。

その時となりで「信じられない」とつぶやく女性がいた。同じフィレンツェからの飛行機に乗っていた日本人だった。閑散とした搭乗ゲートには私たち以外に人影はない。

「とにかくスタッフを探しましょう」と言って紺のスーツを着た彼女は歩き出した。私はオロオロと後をついて行った。だだっ広い空港に軽食スタンドはいくつもあるのにスタッフの姿は見当たらない。やっとの思いでデスクにたどり着いたときにはもう飛行機は離陸していたと思う。

これから12時間のフライトだと言うのにバッチリお化粧したビジネスウーマンらしき彼女は、慌ててはいるけれども穏やかな声でこう訴えた。

私たちはイタリアから来たけど飛行機がとても遅れた。機内のアナウンスではダイレクトゲートを用意すると言ったのに成田への飛行機には間に合わなかった。誰も私たちを助けてくれない。これはフェアじゃないわ。

それから後は各々の事情に合わせて別のスタッフが対応し、私はドバイ経由で帰国することになった。彼女は帰国後の予定も差し迫っていたらしく調整に手間取っていた。

お互いそれどころではなかったので、私は慌ててお礼だけ述べると彼女の名前も聞かずに次のゲートに向かった。何もお礼できなかったのが今でも悔やまれる。

ここで大事なのは、丁重な扱いを受けたのは彼女と一緒にいる時だけだということ。

私は見るからに疲れきった旅行者で英語もろくに話せない。実際、空港のそれ以外の場所でスタッフに何かを訪ねた時は、不機嫌で粗雑な扱いばかりを受けた。もし私だけだったら空港のスタッフはきちんと対応してくれていたかどうかかなり怪しい。

注意深く彼女の振る舞いを見ていて思ったのは、彼女はアサーションのお手本のような交渉をしていた。服装もメイクもきちんとして丁重な扱いを受けるに相応しい。全力で耳をすませば私でも理解できる簡単な英語しか使っていないのに、困ってはいても落ち着いて、礼儀正しいけれど毅然とした態度だった。そして最後の一言、It’s not fair.

日本人である私にはよくわからないけれど、どうも海外の人にとってフェアでないという指摘は非常に厳しいものらしい。その一言がかなり強く影響したと私には見えた。帰国してから冷静に考えれば、海外保険のトラブル窓口に連絡すれば対応してもらえたと思うけれど、彼女がいなければあれほど早くに事態は決まらなかった。

ドバイまでのトランジットに4時間は待つ必要があったので、その間の食事は空港が12ユーロまで負担してくれる。 12ユーロってーと、

大体これぐらいです。フルーツサラダと大きめのサンドイッチ。２〜３品。

ちなみにチーズはイタリアの方がおいしいけれどもパンはウィーンのほうがおいしい。

そんなわけでうっかりドバイでクシテフォン体験をして、

ハラルの機内食を食べ、

アラビア湾が意外と綺麗だったので、

不安で死にそうだったけど元気が出ました。

日本についても電車ないから家までどうやって帰ろうとか、翌日の仕事どうしようとか、心細くて仕方がなかったけど寝て食べたら元気出た。寝れる時に寝て、食欲なくても食べるって大事だ。

ドバイはさすがハブ空港だけあって空港の敷地内で遭難できるレベル。見渡す限り飛行機の列。かつ乗車率は半分以下。なので３席分のシートを占領してフラットに寝れた。これが下手にビジネスクラスだったらそういうわけにいかない。機内食も悪くないし乗り継ぎさえ不便じゃなければエミレーツ航空はいいと思う。機内サービスの映画は全て英語だけど。

痛手だったのはiPadの充電ケーブルをスーツケースに入れてしまったこと。帰国するだけだから必要ないと思って預け荷物にしてしまった（荷物だけは乗り継ぎに間に合って先に飛んでいった）。おかげで家族への連絡や帰国してからの移動手段を検索するのに充電足りるかヒヤヒヤした。

私はロストバゲージが怖いので普段は荷物を預けない。この時はスーツケースを引っ張りながら20分も走れなかったので珍しく預けておいて正解だったけど、充電ケーブルだけは誤算。今度からは必ず機内に持ち込む。念のため常備薬は手荷物に入れておいて正解だった。

でも、強がりでも何でもなく、私はこのトラブルに遭ったことを幸運だと思っている。正確に言えば彼女に出逢えたことを幸運だと思っている。この先も海外旅行を続けるなら似たようなトラブルには必ず遭遇するし、そうなったら今度こそ自力で切り抜けなければならない。彼女の振る舞いを見ていたおかげで非常に参考になったし、すぐには真似できないけれども何が大事なのかがよくわかった。それは日本でも役に立つはずだ。